【生活、食】○日本のみめうるわしき椿餅
2023/01/24 05:56
湯気立てる
○うつとりとつかみし櫛や湯気たてる
椿餅
○日本のみめうるわしき椿餅
○律令の声の甘きや椿餅
○律令の船に帆をかけ椿餅
○中臣のくつを挟みて椿餅
氷水
○甘汁のおぐら百人夏氷
蜜豆
○餡蜜にうすき硝子の婦人かな
○欲望の小出しの器あんみつ姫
桜餅
○大川のむいてしろさや桜餅
柏餅
○東海の目安箱なり柏餅
○穏便につつむ気持ちや柏餅
納豆
○納豆の戒律もまた真実味
○納豆や黒き救いのおすそわけ
○納豆やほとけに満ちた口直し
田楽
○青竹の串の蒸気や田楽焼
○田楽の腰やはらかき二本さし
芋煮会
○芋を煮てしろき川なり思ふ川
栗飯
○栗飯や門に入りし嫁入後
○大きな木かけあふ恋や栗おこわ
○一晩を水にながして栗おこわ
松茸飯
○松茸のめしとなりけりよるしづか
○山なりの松茸飯や一世紀
納豆汁
○義家の大鎧なり納豆汁
○納豆汁八幡太郎の大評判
寄鍋
○寄鍋やきごころしれた漁師町
すき焼
○牛鍋や神経痛に二度おいしい
○牛鍋の美肌のよるや分析表
桜鍋
○いくさ人の腹ふくれたり桜鍋
成吉思汗鍋
○よき鉄のほどよき汗やジンギスカン
石狩鍋
○鮭鍋のアイヌ語蝦夷語缶詰め屋
○鮭鍋の美肌かさねてモッツァレラ
ちゃんこ鍋
○ふところにがつぷり四つやちゃんこ鍋
○ちゃんこ鍋ご利益欲しき大石まで
数の子
○かずのこや都をいでて無頼の徒
結昆布
○重代の勇士やさらに結昆布
ごまめ
○ごまめ噛む祖父やなにやら遊び人
福茶
○流れたる湯気うつくしき福茶かな
福沸
○ほうぼうのおと清廉や福沸
鍋焼
○鍋焼や九州の夜の飽かず見む
○鍋焼や鎮西の夜の飽かず見む
風呂吹
○風呂吹や手にしひとたび回向せり
○風呂吹やジェット気流に月の水
焼藷
○ストールに焼芋つつむ女かな
○焼芋に家紋もありし大石家
○焼芋のにおいがすると騒ぎけり
○焼芋の屁や上々にすかしたり
豊年
○豊年の秋田の夜もふけにけり
○豊年の秋田美人のよもすがら
きりたんぽ
○きりたんぽどいつもこいつも馬鹿ばかり
○米一升くふてたのむやきりたんぽ
○よき酒にこしを据えたりきりたんぽ
○もてなしのきりたんぽなり米一升
○きりたんぽしめにせまるやもう死ぬわ
猪鍋
○仕留めたるこそいとしくて牡丹鍋
○猪鍋や火の用心の参拝客
湯豆腐
○湯豆腐の滑らかなるや書き心地
○湯豆腐のとらわれなおし愛宕さん
今川焼
○家すてて今川焼の夜ふけかな
○裏表かえす米寿の今川焼
菊膾
○好物のひとつといへば菊膾
○清新の紅ひとしをに菊膾
○一言にもってのほかやおもてなす
○洗練の花のうつわや菊膾
ゼリー
○病弱のほほろ崩れてゼリーかな
牡蛎飯
○牡蛎飯や娘の愚痴を聞きながら
推敲
○牡蛎飯や愚痴聞きながらやはらかき
湯豆腐
○湯豆腐や曲がりくねりし北陸路
新巻
○新巻に喉もと紅き女かな
凍豆腐
○子を抱く毛空の蒼し凍豆腐
甘酒
○甘酒やあまくて熱き夏の恋
鋤焼
○すき焼きや鍬すく指の黒鉄ぬ
氷水
○老舗してホテルに崩す氷水
釜揚饂飩
○釜揚や胸のつかえの顛末記
鋤焼
○すき焼や卵二つを割にけり
○すき焼や割下かるく長廊下
熱燗
○熱燗に女性投資家カップ酒
○熱燗やお先一杯メガネ女子
新蕎麦
○新蕎麦を菊に揉みたり手のしめり
○新蕎麦や席にゆつたり走りけり
新豆腐
○看護士のぬくもりありし新豆腐
新米
○新米や新婚いろいろ白茶碗
○新米や染付もあり江戸時代
○新米のどつしりと白飯茶碗
梅干
○梅干のふくれ思ひつ藍小皿
茄子漬
○絵唐津の素にかこまれてなすび漬
おでん
○しらたきのぶらり気ままにおでん哉
○終着と始発おでんや時刻表
○鄙人も都会の夜や関東炊
○防人の味をまもるや関東炊
○初孫の声を聞きたる関東炊
○A駅のすぎた辺りとおでんかな
牛鍋
○牛鍋を板長のしる初代かな
柚餅子
○標高も二層二階の柚餅子かな
鍋焼
○ゆつたりとゆるく鍋焼うどんかな
○小上がりに熱き鍋焼ひとつのみ
餅
○丸餅や昔話に花の咲く
煤籠
○犬猫の吐くこえやまた煤籠
餅米洗ふ
○餅米の洗ふ命の芽吹かな
○餅米の洗ふ枕草子かな
○餅米の洗ふ素朴に正倉院
餅
○丸餅や昔話に花の咲く
濁酒
○山神としもべの汗や濁酒
○怨念のながす祝ひや濁酒
猿酒
○猿酒や知てるつもりぼんのくぼ
柚味噌
○柚子味噌やにわ敷きつめて地元酒
月見豆
○曲げものの丸うつくしき月見豆
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