ねっとりちゅっちゅ
2015/01/12 01:42
コメント0


始めは普通に歩いていたのが徐々に急ぎ足になり、最後はほぼ駆け足になりながら部屋に入った。後ろで扉が些か乱暴に閉まる。振り返ると同時に腰に伸びてくる腕。その逞しい腕に力強く抱き締められながら、私も彼の首に腕をまわし、互いに求めるように唇を重ね合わせた。
にちゃ、にちゃりと、纏わりつくような湿っぽい音と、荒い息遣いが暗い玄関に響く。

一ヶ月も続いたすれ違いの日々を経て、漸く訪れた二人きりの時間。もう我慢できなかった。私に触れる腕が、指が、体温が、何もかもが愛おしい。
彼の手が私の服をはだけさせ、ゆっくりと身体を這い回っている間も、私が彼の服を脱がし、厚い胸板に指を滑らせている間も、ねっとりとしたキスは続いていた。息継ぎすらする時間さえ惜しい。いっそこのまま窒息死してしまえばどんなに幸せか…

「待ってください」

とある問題が、幸せに浸っていた私を現実に引き戻した。いい雰囲気を突然ぶち壊された彼は、不満そうな顔で私を見下ろしている。

「私ここ三日間、執務室に缶詰めでお風呂に入ってません。」
「気にしねえよ。」
「私が気にするんです。」

彼にとってはどうでもいいこと。私にとっては死活問題。数秒の睨み合いで、折れたのは彼の方だった。

「…風呂でするか。」
「そうしましょう。」

声が響くだとか、鏡がある場所でだとか、普段嫌なことも今は構わなかった。
脱がされかけていた服を脱ぎ捨て、浴室に駆け込み、コックを捻り、彼の手がシャワーを浴びる私に触れ、再び唇を重ねて。

その後はご想像にお任せしよう。


〜〜〜〜
この後を描くには私のハートはチキン過ぎた(訳:照れて書けなかった)
↓おまけ



湯船にて

「…久しぶりだからと言ってやりすぎです…」
「いやぁ、悪ぃ悪ぃ。でもナデシコも乗り気だっただろ?」
「そうですけど…。でもどうせならベッドの上が良かったです…」
「風呂出たら今度はベッドでやるぞ?」
「えっ」
「まだ俺はやり足んねえからな?」
「えっ」

「えっ」



*prev next#


TOPに戻る

-エムブロ-