コストコに行って来ました。
「安い、ピザが安い」
なんて言いながら、千登世お兄ちゃんはピザとマフィンをどしどしいれていくし、
「デカい!すごい!」
常世お兄ちゃんはキラキラした目で、大きいポテトチップスにチョコビーンズ、アイスを放り込んでいく。
「ちょっと、ごはん買いに来たんだからね!趣向品ばっかり買っちゃダメだよ!」
そんなふたりを見て、怒る忍足さんは、まるでお母さんみたいだった。
私はと言えば、全部がビックサイズすぎて、驚きと不安が隠せないでいました。これまた大きなカートの影に隠れながら、おそるおそる着いていく。
「透世ちゃんは、買わないの?いいよ、好きなのもっておいで」
「いや、」
「いらない?」
「食べきれるか、心配。あと、なにが欲しいか忘れちゃった……」
もう、圧倒されてしまったのです。
いろいろ欲しいものがあったはずなのに、見ただけでお腹いっぱい。なにも考えられなくなってしまいました。
「透世ちゃん、ティラミスあるよ」
「でか……」
「ほら、ローストチキンも」
「まるまる一匹……?」
ふたりの兄とは違って、テンションの低い私でしたが、思いがけず盛り上がることがありました。
「エビ!でかい!」
大きいエビがぎっしりな箱。
これすごい。
すごいことですよ……!
「買おうか」
「何にする?」
「エビフライとか!」
「いいね」
どうする?と、3人。
もちろん
「……エビチリがいい!中華!辛いやつ」
エビチリすっきー。
「エビシュウマイも作ろうか」
忍足さんが、エビシュウマイも作ってくれるそう。
やったね。
夏になると聞きたいのは、
椎名林檎さんの「長く短い祭」です。
この曲を知ったのはコカコーラのCMでだったんですが、そのときは、格好いい曲だなー椎名林檎!って感じ。
くらいの感想だったのですが、去年だか、紅白で椎名林檎さんがこの曲を歌われて、パフォーマンスにぐっと胸を捕まれてしまいました。
ほんと、すごいんです。
全部が、椎名林檎一色。
キーボードの男性なんて、後ろ向きで演奏していたし。
それが浮いてない。
唖然として、すぐにPVを見ました。
それでまた土坪に嵌まるのです。
カップリングの、神様、仏様も好き。
それから、ずっと椎名林檎のPVとライヴ映像を漁る日々。埋め合わせをするように、私の隙間にぎゅうぎゅう詰めていった。
今日はこれを聞きながらお風呂に入ろう。
浴槽で口づけて死んだ、彼を想いながら。
画像は、長く短い祭のPVに出られている篠原さやさん。
神様、仏様にも出演されています。
力強いダンスが魅力的な方です。
「今日さ、」
「はい?」
「会社の奴に、写真見られちゃって」
「うん?」
「兄弟いるんですねーだって」
「あら」
そう話す千登世お兄ちゃんの目には、不快感はない。
どうやらスマホを見ていて、横から覗き見されたそうだ。普通、覗き見されたらイヤな感じになるんだろうけど……それがないってことは、仲の良い人なんだろうなあ。
お兄ちゃんって、警戒心が強いくせに仲良くなると、パーソナルスペースがぐっと近くなる人だから。
「それさ、つねと忍足さんが写ってるやつで。そいつは、俺の兄弟だと思ったらしい」
「忍足さんも?」
「そう。おもしろいのが、忍足さんが末っ子に見えたって」
「まじか」
若見えするとは思っていたけれど、ここまでですか。
恐るべし忍足さんだわ。
「妹もいるって言ったんだよ。そしたら、見せてって」
「わあ。見せた?」
「うん。……何て言ったと思う?」
えぇ
やっぱりここは、似てない!とかですか。
よく言われますしね。
「この人に似てるって」
そう言って、見せられたのは可愛いモデルさんの画像。
「似てない!」
「でも、似てるって。名前言われても分かんなくてさ、今検索してたとこ」
「似てない!消して、消して」
照れんなよーと、お兄ちゃん。
照れてないし、それ絶対社交辞令とかですし。
「もう、きらいきらい」
似てると言われたのは、モデルの瀬戸かほさんでした。
めちゃくちゃ綺麗なの!
髪型だけじゃん、絶対似てない。
社交辞令め!
私と常世お兄ちゃんは、だいたい一緒にいる。
私が千登世お兄ちゃんを好きなのを知っている、数少ない人物でもある。
「だから、常世お兄ちゃんを、蔑ろになんてしてないよ」
「ほんとお?」
「ほんとうに」
どうしてか、常世お兄ちゃんが拗ねていた。
きっと、ゲームに誘ってくれたのに断っていたからでしょう。
最近の私はというと、なにやらもやもやを抱えていて、下腹部がずんとオモイのです。
「半分こしよ」
手を取って、ぎゅっと、爪が白くなるまで握る。
おまじない。
常世お兄ちゃんと私は、一心同体。
私と、お兄ちゃん。常に、私達であり、&な存在。
ブラック&ホワイト、だ。
だから、もやもやを全部、半分にしよう。
アルコールに浸して、甘くするんだ。
「今日、お昼食べに行かない?」
「行く。どこいく?」
「まだ、誰にも教えてないお店があるんだ」
17時から、今の時間まで寝ていました。
昼寝にしては遅すぎるし、長すぎる。
起き上がるとだるくて、クーラーで涼しい部屋なのに、ほんのり汗をかいていました。
「お腹すいたあ」
起きて、すぐそれ。
今日は全然食べてなかったから、さすがにお腹がすく。
常世お兄ちゃんはお風呂に入っていたし、千登世お兄ちゃんは部屋で仕事をしてた。
台所には、忍足さん。
「おはよう」
「おはようって、時間じゃないけどね」
「昼寝?」
「うたた寝。昨日、あんまり寝てないの」
CoD:WWU
ベータ版が出ていたから、ついつい遅くまでプレイしちゃったのよね。
お兄ちゃんたちも遅くまでやっていたはずなのに、次の日にはちゃんと起きて、仕事にいけちゃう。すごい。
「私は眠くて仕方ないのに」
今だって、生あくび。
忍足さんが、ごはんを用意してくれた。
スープと、チャーハン
あと、食後には梨があるらしい。
梨大好きだ!
ごはんを食べている間、いろいろな話をした。
バイト先のカフェはすごくおしゃれで、女の子達がやって来ては可愛いカメラで、ランチを一所懸命に撮っていること。
先輩はあまり笑わない、冷たい印象の人だけど、それは私が嫌いなのではなくデフォであって、そんな人の方が落ち着くこと。
ウィッチャーの本がおもしろくて、一冊目を読んでしまってその感想。
バカみたいに舌がまわった。
なにをそんな
「緊張してる」
んだろう?