続・徒然なるままに
「2024年問題」の危機感…日本郵便・ヤマトのライバル協業 - 産経ニュース
2024/03/29 20:06
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「2024年問題」の危機感…日本郵便・ヤマトのライバル協業 - 産経ニュース

https://www.sankei.com/article/20240329-5VPDFB6YWBJHFOP6I5ZPIMLI6I/


2024/3/29 
小型荷物などでヤマト運輸が集荷し、日本郵便が配達する新たな協業が始まった=15日、栃木県宇都宮市


3月中旬の午後3時、宇都宮東郵便局(宇都宮市)の構内に、クロネコマークが描かれた10トントラックがゆっくりと入ってきた。発着場では、ヤマト運輸のユニホームを着た運転手が慣れた手つきで荷役台を運び込み、郵便局員に引き渡していった。

ライバル同士の協業は昨年10月に始まった。当初は「驚いた」と振り返る宇都宮東郵便局の駒崎真史局長は、用語の違いなどで戸惑う部分もあったが、今はうまくいっていると話す。

ポストサイズの小型荷物をヤマトが集荷し、日本郵便が配達する態勢にした。小型荷物はフリマアプリの成長を取り込んで伸びているが、ヤマトはそれを引き渡してでも、主力の段ボール箱サイズの荷物に経営資源を集中する。郵便物の右肩下がりの減少に悩む日本郵便にとっても渡りに船だ。今年2月には通販カタログなどを扱うメール便も同様の態勢に一斉に切り替えた。


ひずみも生まれる

ただ、ひずみも生まれている。ヤマトは協業に伴い、メール便の配達を委託している個人事業主約2万5千人との契約を1月末で終了した。謝礼金(3万〜7万円)の支払いや転職支援サイトの活用などを案内したが、納得しない個人事業主らもおり、彼らを支援する労働組合から契約終了撤回を要求されている。

一方、日本郵便は4月から一部地域で「ゆうパック」や速達郵便物の配達を半日〜1日ほど遅くすることにした。対象となるのは荷物全体の3%ほどだが、「遅配」という割り切った対応は関係者を驚かせた。

働き方改革関連法に基づく時間外労働(残業)の上限規制が、4月1日から新たに拡大し、残業時間の上限は、自動車運転は年960時間以下となる。物流分野で具体的な対策が講じられない場合、令和6年度に輸送能力が14%不足する可能性があるという。

過去20年間で2割減ったトラック運転手の減少速度に加速がかかる。運転手不足が顕在化する中、大手同士の本格的な協業は「将来の物流インフラに対する強烈な危機感」(関係者)を映す。

各社は、ライバル企業や異業種の連携など、4月を前に対応を急いでいる。同じ家電メーカーのソニーグループと日立製作所が製品の共同配送を始めると発表。製紙大手の大王製紙と北越コーポレーションも手を組む。異業種間では配送を終えたコカ・コーラボトラーズジャパンのトラックがファミリーマートの商品を店舗に運ぶ取り組みが始まった。JA全農と日清食品、サッポロホールディングスとハウス食品といった組み合わせも登場した。


トラック運転手の待遇改善を

日本の物流はトラック輸送が大部分を担う。国内の貨物輸送に占める割合は重量ベースで約9割だ。だが、厚生労働省によると、トラック運転手の賃金は全産業平均と比べて5〜10%低く、長時間の荷待ちや荷役作業が課され労働時間は2割長いため、時間当たりの賃金は3割ほど低い。

離職を防ぐため、政府は令和6年度に10%前後のトラック運転手の賃上げを目指す方針を打ち出している。働く環境を改善する関連法改正案を2月に閣議決定し、低賃金の一因となる多重下請けの弊害を是正するため、元請けの運送業者に下請け状況が分かる管理簿の作成を義務付ける。また、荷主に荷待ち時間削減を促し、最大100万円の罰金を科す規定も設ける。

国土交通省は昨年7月、荷主と運送業者の取引を監視する「トラックGメン」を創設。荷主側の都合による長時間の荷待ちや、不当な安値での配送などに目を光らせてもいる。ただ、物流の担い手の働き方と賃金の改善という好循環実現には、消費者を含めた関係者の意識改革も必要だ。(万福博之)






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■佐川急便は積み降ろしで革新的車両 物流業界「2024年問題」を変革の好機にできるか - 産経ニュース

https://www.sankei.com/article/20240329-W5JGL3O4UNJXNBZL3D6B2XO2LQ/

2024/3/29 


佐川急便のスワップボディ車両は荷役作業や荷待ち時間を削減できる=東京都江東区(同社提供)


4月からの時間外労働の上限規制導入によってトラック運転手不足が深刻化する「2024年問題」。法施行から5年の猶予期間があったが、問題の根底にある「長時間の荷待ちや荷役作業」や「低賃金」などの改善に向けた取り組みは道半ばだ。荷主優位の業界構造の見直しなど課題は山積している。

荷役の重労働なくす

東京都江東区にあるSGホールディングスの物流センター「Xフロンティア」。荷物を積んだ佐川急便のトラックが到着すると、後方のコンテナ部分から足が降り、車体が前進して切り離す。車体は次に別のコンテナ下に潜り込んで装着を完了すると、再び走り出した。

この間、15分ほど。佐川急便のトラックは荷物を手作業で積み降ろしする「手積み」方式なので本来は2、3時間かかるが、このスワップボディ車両を使えば、運転手は荷役の重労働がなくなり「女性運転手の活躍も期待できる」(担当者)。全国で走っているのは280台で、今後は年25台ずつ増やす。物流の現場では、2024年問題を見据えた効率化の取り組みが着々と進む。


負担強いる『悪習』


1月下旬、国土交通省はヤマト運輸と王子マテリアの2社に貨物自動車運送事業法に基づく「勧告」を初めて行った。下請けへの過積載での運行指示、長時間の荷待ち、運賃の不当な据え置きなど法令違反につながる行為が見つかった。「ヤマトですら末端まで浸透できていない」とトラックGメンは指摘する。

「そもそもの構造を変えないと直らない」。ヤマト側はこう語る。物流業界は荷物を依頼する荷主の力が圧倒的に強い。業界最大手でも荷主に厳しい条件を突き付けられたら苦しく、下請けに負担を強いてしまう業界の悪習を露呈した。同社は今後、幹線輸送を効率化する新たな改革に挑むが、荷主の行動変容も促さなければ、根本的な解決にはならない。


値上げで待遇改善も


佐川急便は令和5年4月に宅配便の基準運賃を5年半ぶりに値上げした。「下をくぐりながら荷物の取り合いをしてきたが、どこかが先陣を切らなければならなかった」(川村博之広報担当部長)。値上げ分は協力会社を含めたトラック運転手の待遇改善の原資にした。6月4月には2年連続で値上げを実施する。荷主が強く、値上げが通りにくい物流業界だが、こうした動きは各社に広がりつつある。

「働ける時間が減れば業界全体で稼げなくなる。若手が入ってくるには、賃金と労働環境の改善が両方必要だ」。鴻池運輸の30代のトラック運転手は心中を吐露する。

運転手不足が一段と顕在化すれば、物も人も動かずに経済活動や人々の生活に深刻な影響が出ることが懸念される。荷主や物流事業者の行動、働く人や消費者の意識、商慣行など、あらゆるものの変容が求められる。2024年問題は長年変われなかった物流業界が変われる好機でもある。(万福博之)


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「2024年問題」の危機感…日本郵便・ヤマトのライバル協業














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