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動かない体にイラ立ちながら、考えていたことがあった。
生まれ落ちた時の名は、《清苑》
そして清苑は死んだ。
公子ではなくなってから目が覚めると《小旋風》と呼ばれていた。
それからあの男に、《セイ》と呼ばれるようになった。
しかし今はどうなのだろう。
《セイ》も死んだ。
燕青から離れた時に、その名を持つ者は死んだ。
当然のこと《小旋風》もいなくなった。
(私は、何者なのだろうか)
真っ白な天井を見つめながら彼は考える。
《清苑》は決して不幸ではなかった。
息苦しい宮廷ではあったが、彼には実力があった。
それに何より、愛しい弟がいた。
誰よりも大切で、何に換えても守りたい小さな存在がいた。
それだけで、彼は幸せだったはずだ。
《小旋風》は人と呼ぶにはふさわしくない生き物だった。
生きるということに執着し、他を殺し、生きていた。
呼吸はしていたけど、彼は最初から死んでいるような男だった。
《セイ》はどうだろう。
彼の人生の中で最も安らぎの時間といえたかもしれない。
初めて、生きていた瞬間。
守られる喜びを知り、初めて気を抜くということを知った。
彼は最後まで幸せだった。
差し伸べてくれる手に縋ってもいいと思えるほどに。
しかし結局全てを捨ててしまった。
自分はまた、《無》になった。
ただ、いつだって自分では死ねなかった。
「殺してください」
その言葉は、彼を拾った人に一蹴された。
死ぬことはできない。死ねない。
『あにうえ!』
『大丈夫か?セイ』
『おにーちゃ?』
死ぬには、大事なものが増えすぎた。
『生き延びなさい』
そんな声がなくても。
自分が誰であろうと、生き続けよう。
後に静蘭と名づけられる少年は、そっと瞼を閉じた。
END
書いてる本人が意味分からない…
飛鳥9月号の衝動です。