話題:結婚
〜つづき〜
部品屋の店じまいの時間を過ぎてもメールは返ってこなかった
これで息子はアスペルガーかそれに似た発達障害を持っている可能性が高い
こういう人は住所氏名年齢職業と欄があるような用紙に書き込んだり、自分で作り上げる作文や感想文を書くことは可能だが、相手がいるメールのやり取りはうまくできないんだよ
塾にいる子がそうなのだ
これで明日も返信がなければ店に乗り込んで行って、一体どういうことだ、ひとにものを頼んどいてふざけるな!的な台詞を吐いてサヨナラできる
だが夜になって部品屋オヤジから俺に電話が掛かってきた
内容は、今日来た女からのメールに息子が返すと今後2人が結婚することになる。それだと相手の年齢から考えて子供は1人になっちゃう。だからもう少し若い子の方がいいんじゃないかと思う、というものだった
驚いた
どうしたらそういう発想になるのかちんぷんかんぷん
これまで一度も女と付き合ったことがないのに、メールを返しただけで結婚まで行くって(?)
若い女があんたの息子を好きになるのか(?)
まったくどういう思考なのだろうと不思議に思った
でもこの時、何となくこの親子のことが理解できた
発達障害は遺伝する
おそらくオヤジも発達障害なのだな
だから訳のわからぬことを言うのだ
息子がメールを返せないのを見て代替案を示すならまだわかるが、別の女を紹介してもメールは避けられないことには気づいていない
それに発達障害者は他人の痛みや苦労が理解できない
だからまた違う女を紹介しろと平気で言う
こういうところも社会性が乏しいってことなんだな
若い女なら周りにはいくらでもいるから紹介できるけど、取りあえずM田H香さんのメールには返しといてくれと言って電話を切った
〜中略〜
翌日店を訪ねたらシャッターに臨時休業の札が掛かっていた
それで○○商会に行ってみるとおっさんが「部品屋はオヤジと息子が同時に熱出しちゃったみたいだよ」と言っていた
熱ぐらいだったらセーフ
二次障害として鬱にでもなられたら困るが‥
あれからM田のもう1つのケータイから、そしてB子のケータイからも息子宛にメールを送信したのだ
24と27の女を装ってね
その2つのメールにも返信がなかった
もちろん最初のM田H香からのメールにも返信はないまま
息子は軽くパニックを起こしたのだと思われる
オヤジも同じだろう
決まりきった生活の中に新しい文化が入ったためにどうしていいかわからなくなったのだろうね
アスペルガーはそういう時、頭の中が真っ白になるらしいから
これで俺はお役御免だ
部品屋はもう俺に接触してくることはない
俺が姿を現さなければ忌まわしい記憶が蘇ることもないだろう
○○商会も切る
「紹介してやんなよ」なんて言いやがって、客の俺にそんなことを言う奴はダメだ
まあ車屋なんて他にいくらでもあるからね
別にここに固執する必要はない訳だ
この顛末をN女史に報告したら「いいんじゃない?私、あそこで車買うの嫌だったのよ」とあっけらかんと言っていた
人との繋がりを切るってのはよくないような気がするけど、自分に得のない人はどうでもいいよね
何となく後味は悪いけど仕方ない
今後は本職以外のことに手を出すのはやめておこうと思った神田でした