元老院副官・絲庵(しあん)の襲撃?から約5日。それは突然訪れた。
ゼノクから約5km離れた地点。鐡は指を鳴らし、進化型戦闘員を複数召喚。

戦闘員達は街を荒らしていく。鐡はビルの屋上から高見の見物をしていた。
「早く遊びたいぜ、暁…」



ゼノクにアラートが鳴ったのはそれから約10分後だった。隊員達は現場へ急行するも、鐡の罠だとは知らない。
鐡からしたら他の隊員なんて、どうでも良かった。



晴斗はブレードと肉弾戦を駆使し、戦闘員と戦うが妙に強い。進化態になってないのになんでだ!?
これには鼎と御堂も気づいていた。戦闘員が進化態になってないのに強化されてる…!

二階堂も戦闘兼用義肢を使い、次々攻撃していくが強さが違うことにようやく気づいた。
こないだ戦った戦闘員とは違う…。色だけじゃなく、強さも違う!?


牽制・撹乱する援護の隊員達も変だとは思った。明らかにおかしい…。
粂(くめ)と彩音は気づいたせいか、攻撃手段を変えることに。


上総(かずさ)はそんなことお構い無しに次々斬り込んでいくが、ほとんど効いてないことに気づいたが遅く攻撃を受けてしまう。



鐡は楽しそうに見てる。

「この進化型戦闘員を倒せるかな?まぁこれはメインじゃねーが。メインは…暁晴斗、お前だ」



晴斗は何かに気づいた。ビルの屋上に人影が。
その人影は屋上から消えた…と思った。いきなり晴斗目掛けて飛び降りながら攻撃してきたのだ。

晴斗はブレードを発動させ、その攻撃を受け止める。あと数秒遅かったら、大ダメージを受けていたところだった。


鐡は右腕を剣に変化させ、晴斗を狙い撃ちしていた。

「また会ったな、少年。いや…暁晴斗くんよぉ」
「お前は鐡!?」
「俺の遊び相手になってくれて楽しいぜ」

鐡は一気に攻めている。晴斗は圧されてる。


こいつ…めちゃくちゃ強い!!


鐡はニヤリと笑いながら楽しんでるようだ。あくまでも鐡からしたら「遊び」なので本気じゃない。
だが晴斗には…ここにいる隊員達には鐡はあまりにも強すぎた。


鐡は晴斗と戦いながら戦闘員を指揮してる。

「暁に隊員どもを近づけるなよ」

戦闘員達は理解したのか、攻撃を強める。
鼎の戦闘制限時間がじわりじわりと迫っている。御堂は彩音に叫ぶ。

「彩音、鼎を撤退させろっ!」
「わ、わかった!」


彩音はなんとか鼎を安全な場所へと連れていく。鼎はかなり息を切らしていた。
あと1分でも遅かったらかなり不味かったかもしれない…。鼎はだいぶ消耗している…。


彩音は銃を構えつつ、鼎の様子を見る。制限時間ギリギリだったから鼎は動けそうにない。私が鼎を守らなくちゃ!



上総・粂・三ノ宮・二階堂のゼノク隊員達は三ノ宮の分析を元に進化型戦闘員の弱点を突く作戦に出た。
これには御堂と桐谷も便乗。

「三ノ宮、助かるぜ」
「僕のことはいいから早く!分析は僕の戦いですから」
「だってよ、御堂。私らも連携しよう」
「粂…」


戦闘員は隊員を狙い、次々攻撃していた。だがずっと劣勢でいるわけにもいかない。
粂は今までとは違う矢を3本、つがえた。

「三ノ宮、特殊な矢を放つから確実に倒せる座標教えて!」
「了解しました。粂さん、2時・6時・11時の方向にそれぞれ矢を撃って下さい!全力で!!」

「ありがと。じゃあ私も本気出すわよ」


粂はギリギリと弓を全力で引く、すると3本の矢に気のオーラのようなものが発生。
「届けっ!!」

粂は一斉に矢を放った。気を帯びた3本の矢はそれぞれの座標通りに分散→最後に爆破した。
「まずは一発目。まだ行くわよ。三ノ宮、次の座標は?」

粂と三ノ宮の連携で次々爆破させていく。


二階堂は義手をさらに展開し、銃撃モードに腕から砲身が出ることに気づいた。

指から銃撃出来るだけじゃなく、腕にも砲身が隠されてた…!
腕の砲身は弾で銃撃するタイプじゃない。弾切れしないタイプのもの。


二階堂はその砲身を使い、立て続けに銃撃&義足のブレード展開で鮮やかに戦闘員に斬り込んでいく。
彼女は独特の戦闘スタイルを作り上げていた。

「なかなか性能いいですね。これなら確実に倒せる…!」



一方、晴斗vs鐡は激しい攻防を繰り返している。

「ハハハ!本当に楽しませてくれるよな〜。お前は」
鐡高笑い。
「何がおかしいんだよっ!」

晴斗は特殊発動を発動。鐡相手に効くかはわからないが、やるしかねぇ!
鐡は高笑いしながら容赦ない攻撃を繰り返す。


これが「遊び」だと!?ふざけんなっ!!


晴斗は怒りの勢いでブレードのトリガーを引いてしまう。
知らず知らずのうちに日本刀型ブレード・恒暁(こうぎょう)のトリガーを3回引いていた。

すると晴斗のブレードに変化が。ブレードの刃が攻撃的な色に変化したのだ。赤みがかったオレンジ色。


よくわからないままに晴斗は鐡に攻めていく。ブレードを振る度に激しい波動が出ている。衝撃波だ。

鼎は遠くからでも晴斗が戦っている様子を見ていた。
「鼎、少しは良くなった?まだ動いちゃだめだよ。鼎の身体は制限時間ギリギリまで戦闘したんだから休んでて」
「わかっている…」


二階堂・粂・御堂の猛攻で進化型戦闘員は少しずつ撃破されていく。だが、相手は強化された戦闘員。
進化態になる可能性もある。



ゼノク・司令室。


蔦沼と西澤は晴斗vs鐡の攻防を注視。蔦沼は呑気に本部の宇崎と連絡している。

「あ、宇崎?暁のブレード・恒暁にあんな発動あったっけ?なんかものすごいことになってるよ」
「どういうことですか、長官」
「早くメインモニター見な。暁がとんでもないことになってるよ」


晴斗がとんでもないことになってるだと!?





第25話(下)へ続く。