自ら仮面を外し、封印を解いた絲庵(しあん)。異空間での鐡vs絲庵はさらに激化する――。



支部・隊員用休憩所。


囃は強化戦闘員の亜種が気になっていた。なぜ京都近郊に?
そこに月島と高羽がやってきた。

「京都近郊に出た強化戦闘員亜種、ゼノクが調査中だってさ。首都圏では逆に怪人全然出てないって」
月島は飲み物飲みながら囃に言ってる。高羽も推測してる。

「囃さん、異空間ではゼルフェノアと同盟関係にある鐡一派が強化戦闘員作ったやつと交戦中なんすよね?それと関係してんのかな」


異空間で鐡が元老院の一員と交戦中!?
囃はガタッと席を立った。


「囃さん、どこ行くの?」
月島は囃が気になった模様。
「司令室」

囃はすたすたと司令室へと向かった。



支部・司令室。

小田原は現在の異空間の状況を聞きにきていた。


「囃、お前なら来ると思ったよ。異空間の状況、知りたいのか」
「あぁ」
「現在異空間は鐡と元老院副官が交戦中とのこと。どうやら副官が強化戦闘員を生み出したらしい」

「元老院副官が!?」



異空間。絲庵は指の間に小さな黒い球体を挟み、見せつける。
それを投げつけた。

ただの球体…じゃねぇ!
鐡は球体から変化した巨大なコンクリートの塊にダメージを受ける。


「ぐわあっ!!」

鐡、一瞬の隙を突かれ落下。幹部達は鐡を心配してるが、絲庵は幹部達にも容赦なし。

「どうしましたか?この程度なのですか?鐡」


素顔の絲庵はとても冷たい目をしていた。封印が解けた絲庵は強い。

鐡は激突する寸前で体勢を立て直し、刀を使い反撃。

「面白いじゃねぇか、コバンザメ」
「なっ…コバンザメだと!?」
「あんた、鳶旺(えんおう)鳶旺うぜーんだよ。封印解いたとしてもそれじゃあな〜」

ダメージをものともせずに煽っているだと!?
鐡は絲庵の攻撃を「わざと」受けていた。幹部達はハラハラしているが、内心「鐡(様)のことだから大丈夫だ」と思っている。


鐡は絲庵の背後にいつの間にかいた。
「あんたこそ封印解いてその程度かよ?もっと楽しもうぜ」

何を考えているんだ、この男は…。



ゼノク・異空間ゲート部屋。そこには蔦沼の姿が。西澤は止めようとする。


「異空間に行く気ですか!?長官、冷静になって下さいって!」
「…え、冷静だよ?強化戦闘員作ったやつの面が見たくなったんだよ。元老院副官・絲庵、あいつゼノクに1度だけ出てきたやつだよね」

「鐡の様子も見たいし、異空間って行って見たかったから」
「ダメです!今のタイミングは良くないですって!」

「しゃーないな〜。今回は止めとくよ」


西澤、長官に振り回された。何を言い出すのかと思えばそれかよ!



鐡はじわじわと絲庵を追い詰める。

「そろそろ降参したらどうだ?お前、死にたくないだろ」
「敵に情けをかけるのか」

「情けじゃねーよ」


絲庵はどこからかナイフを出す。その後、彼は自分の胸を突き刺した。

「お前にやられるくらいなら…死ぬさ」
絲庵はそう言うと、満足そうな笑みを浮かべて死んだ。鳶旺のためだけに死んだというのか、こいつは…。


鐡一派は嫌な予感がした。絲庵の死がトリガーになっていることも知らずに。

絲庵は自ら死を選んだが、これはネオメギドが起きるという意味を示していた。


元老院の館では鳶旺がひとり、絲庵の死を悲しんでいた。だがそれはパワーアップした怪人が起きる合図となる。

「絲庵のやつ、死と引き換えにメギドをさらに強化していたとはな…。どこまでも忠誠心の強い男だ…」



晴斗達は再び支部へと向かっている。今度は荷物を持って。
移動中、異空間では元老院副官が死んだという情報が入る。御堂は何かを感じた。

「鐡に『倒された』んじゃなくて『死んだ』?…なんか嫌な予感がすんだよな〜。なんなんだ、この感じ…」


北川も支部へと向かっていた。鼎に渡すものがあるからだ。
あの守り刀は彼女に渡さなければならない…!



支部へ着く前にいきなり怪人出現。晴斗達は戦闘するハメに。
出てきたのは強化戦闘員でも通常戦闘員でもない、見たことのない怪人1体だった。鐡一派が作った戦闘員強化態でもない。

たった1体?


その怪人は晴斗と鼎をターゲットにしていた。強力な鞭で2人の体に絡みつく。御堂達が銃で応戦してもあまり効いてない気がした。


御堂はふと、あの「マグナムブラスト」を使ってみることに。

晴斗はギリギリしながら足で怪人に攻撃する。怪人にはまるで効いてない。鼎はかなりキツそう。

「鼎さん!しっかりして!鼎さんっ!!」
晴斗の呼び掛けに鼎はなんとか意識を保っているが…明らかに危ない状況。鼎はギリギリ締め付けられている。


敵の狙いは鼎かよ…!


鼎もブレードを抜こうとするが、手が届かない。
力を貸してくれ…鷹稜(たかかど)…。お前の力が必要…なんだ…。


鼎は怪人によりさらに殴る蹴るの攻撃を受けている。激しい攻撃を受けていた。鞭で体が縛られ動けない以上、なすすべもなく鼎は地面に投げ出された。

「鼎さんっ!!」
晴斗の悲痛な叫びが聞こえる。鼎は混沌とした意識の中、こう感じていた。


私はこのまま死ぬのか?


怪人は再び鼎に攻撃。衝撃で鼎の仮面が音を立てて割れた。
これには御堂と彩音も叫ぶ。

「鼎っ!しっかりしろ!!」
「鼎!起きて!!…御堂さん…かなりまずいよ。鼎の仮面が割られたことはリスクが上がる」


滅多に割れることのない鼎の仮面が割れた。戦闘兼用なため、軽い衝撃では割れることはない。
顔は髪の毛でほとんど隠れていたが、口元だけ見えていた。かなり悔しそうにしてる。


御堂と彩音は銃を発砲。晴斗は鞭に縛られたまま、蹴りで攻撃。
鼎はなんとか起き上がろうとするも、苦戦中。鼎は素顔では長時間いられないのも関係している。火傷による、目のダメージが深刻だからだ。


「死にたくない……」

鼎の悲痛な声が聞こえた。今のままでは何も出来ないのが悔しい。素顔のままでは無防備すぎるし、危険だ。


ブレードは反応なし。なぜ鷹稜は反応しないんだ…?何がいけないのかわからない。
鼎は戦意喪失まで追い込まれてる。そこに助っ人がやってきた。北川だった。


「紀柳院、今助けるからな!」
「北川…さん?」

鼎の声は泣きそうになっている。北川は支部へ向かう途中、宇崎から鼎の仮面のスペアを渡されていた。
丁寧に箱に入れられている。
宇崎は北川にこう言っていた。

「もし、鼎に何かあったらこのスペアの仮面を渡して欲しい。敵はパワーアップしているからな。スペアの仮面、2つ渡しておこう」


鼎は涙が止まらなかった。北川さんが…いる。

鼎の素顔はほとんど見えてないが、ぼろぼろ泣いているようだ。
北川は颯爽と鞭をナイフで切り、鼎を救出。晴斗の鞭も切ってあげた。

北川は鼎の体に絡みついた鞭をほどいてあげた。鼎は思わず抱きつく。相当怖かったらしい。
背後に気配を感じた北川は、背後を見ずに怪人を一撃で撃破。


晴斗達は北川の実力に驚愕。これが最初の司令…めちゃくちゃ強い…。



北川は鼎にすっと仮面が入った箱を差し出した。

「落ち着いたか?スペアの仮面だよ。着けれるかい?」
鼎、無言。鼎は仮面を着けようとするがまだ恐怖が残っているのか、手が震えてる。北川は優しく鼎の仮面を着けてあげた。
北川は鼎の素顔を知っている人。


「北川さん…ありがとう…ございます」
これを言うのがやっと。北川は本部隊員に言う。


「今日から俺も参戦するからよろしくね。敵はさらに強化されてるんだ、協力しようではないか」

北川元司令が参戦だと!?
御堂は寝耳に水だった。