本部へ帰還中に起きた怪人の襲撃。それも空中で3体に囲まれる事態に。
組織専用機には晴斗達本部隊員4人と、本部航空部隊の4人が搭乗。高度1万mの攻防は如何に――


ネオメギドに囲まれた専用機。本部航空部隊・砲撃手の八城(やしろ)が奮闘している。レーダー解析担当の五箇山(ごかやま)も攻撃している状態。
操縦士兼隊長の九条と副操縦士の三橋(みつはし)もなんとか晴斗達4人を帰還させようとしてる。


御堂は九条・三橋とは顔見知り。

「三橋!今どうなってんだ!?」
「右エンジンに怪人から発生した蔓が絡まってます!このままだと急降下しかねない!被弾もしてます!」
「墜落するかもしれないと!?」

御堂の声に九条が答えた。

「墜落させない。不時着するかもしれないがね」


怪人3体のうち1体は八城の粘りで撃破。残り2体。厄介なのはネオメギド特有の蔓。これが絡みつくとなかなか外れない。
ましてや乗り物となるとかなり危ないわけで。



ゼルフェノア全施設に通信が入る。『組織専用機、ネオメギド3体に襲撃されたし。不時着の恐れもあるため、避難させよ』と。
本部はフライトレーダーで現在地を把握。不時着地点を割り出している。

宇崎は祈るような思いでいた。うまくいってくれ…!



この攻防の鍵は操縦士と副操縦士にかかっていた。御堂は御堂なりにやれることを3人に言う。


「おい、パラシュート着けるぞ」
「パ、パラシュート!?」

晴斗は今の状況について行けてない様子。いきなり素人から隊員になった晴斗からしたら、パニック映画すぎてて理解が追いついてないようだ。


「鼎、晴斗にパラシュートの装着してやってくれ。今の状況、かなりやべーからな。もしもに備えてやるんだよ」
「御堂、わかったよ。晴斗、ちょっと大人しくしていろ。すぐ終わる」

鼎は手慣れた様子で晴斗にパラシュートを装着させてる。
ゼルフェノア隊員って、1度はスカイダイビングでもすんの!?
彩音さんも手慣れていた。訓練でスカイダイビングやるんだろうか…。


八城は2体目のネオメギドと交戦中。五箇山がサポートする。
「あの蔓、厄介だなー」
「五箇山、追尾ミサイル使っていい?」
「とにかくこの状況を打開出来ればいいよ」

八城はあるボタンを押す。追尾ミサイル2発発射。ネオメギド2体をずっと追尾している。これで少しは持つだろう。


コックピットでは右エンジンの被弾で機体が急降下していると気づく。

「隊長!急降下しています!」
「とにかく体勢を立て直せ!墜落は避けたい。良くても不時着だぞ!」


三橋は晴斗達に指示を出した。
「隊長からです。機体は蔓と被弾により急降下しています。墜落はさせません。いいですか?不時着させるとのこと」
「不時着地点どうすんだよ!!」

御堂、思わず聞き返す。


そこに宇崎から通信が。

「不時着地点を割り出した。九条・三橋、お前らなら行ける。いいか?この座標に不時着させろ!怪人は全て撃破出来なくていい!命を大事にせい」
「了解しました」


晴斗はようやく理解した。

ネオメギドによって右エンジンが被弾→機体が急降下→今不時着しようとしてる!?
パニック映画そのものじゃん!!


御堂は優しく晴斗に語りかけた。

「晴斗、パニクるなよ。操縦士と副操縦士を信じろ。八城と五箇山も空中戦だとすげーんだぜ」
これは本部分隊長クラスの御堂だから言える台詞。御堂は八城と五箇山も知っていた。


ネオメギド2体は追尾ミサイルによって離れた。この隙に操縦士2人は懸命に不時着地点にうまく不時着するように調整かけてる。

だんだん陸が見えてきた。追尾ミサイルはある程度効果を出したが、ネオメギドは執拗に襲ってくる。
御堂は八城に指示を出した。

「八城!集中砲火!」
「りょ、了解!」
「不時着まで時間がねーんだ。1体でもいいから怪人倒さないと墜落すんぞ!」

八城は御堂の指示通りに銃撃を集中砲火した。追尾ミサイルでダメージを受けたネオメギドはあっさり撃墜。
残り1体となる。

だんだん高度が下がって行く中、最後の怪人は天井から侵入してきた。
御堂はコックピットの扉を閉め、八城と五箇山がいるスペースも見えないように遮断。専用機は戦闘機のような役目もあるため、コックピットと攻撃ブースは扉を閉めれば堅牢になる。

あまり広くない機内でネオメギドと戦うことになるとはな…。御堂はいきなり怪人を羽交い締めにした。
「晴斗、こいつをボッコボコにしろ。あまり広くないから下手に刃物は使えないだろうが」

御堂は天然タフな晴斗に肉弾戦を要求。晴斗はここぞとばかりにプロレス技をかけまくっている。
「邪魔してんじゃねーっ!!」

晴斗はキレていた。晴斗と御堂で肉弾戦だけで最後の怪人を撃破してしまう。
追尾ミサイルが効いてたおかげもあるのだが。


そうこうしているうちに不時着地点が見えてきた。コックピットから全員に指示が入る。
「席につき、頭を低くするように」と。これは不時着する合図だった。


機体は急降下からなんとか持ち直し、ある地点で不時着に成功。
専用機に乗っていた8人全員無事。後に機体を調べたところ、右エンジンにはネオメギドの痕跡が見つかった。

機内で倒したネオメギドは爆発しなかったため、ゼノクへ研究のサンプルに回されることになる。
そして、あの不気味な実とネオメギドの関連性が明らかとなった。



不時着後。晴斗はあまりにも非現実的すぎて頭が追いついてなかった。
鼎は優しく話しかける。

「空中戦なんて滅多に体験しないぞ。私達はな。航空部隊はしょっちゅうらしいが」


しょ…しょっちゅう!?


聞けば本部を始めとするゼルフェノア航空部隊は空中戦はしょっちゅうあるらしい。ネオメギド飛行態はこれまでよりも強力な怪人だと聞いた。
本部・支部・ゼノクの中で航空部隊があるのは本部のみ。近くに飛行場があるのも関係しているが。



本部・司令室。


宇崎は航空部隊の4人と晴斗達を呼んでいた。
「ネオメギド飛行態をよく撃破したな。難しかっただろうに」

八城が答える。
「そんなことないっすよ。御堂さんのおかげでもありますから」
三橋は御堂の臨機応変さに感心していた。

「御堂さん、とっさに指示出せるのはすごいですよ」
「俺は出来ることをやっただけだ」

御堂は相変わらずぶっきらぼうな言い方。宇崎は鼎に優しく話しかける。


「鼎、今後も気をつけろよ。鐡からのタレコミで2年前にお前を襲撃した怪人の名前が判明した」
「名前?」

「鐡情報だから間違いない。そいつの名前は『禹螢(うけい)』。元老院子飼いの幹部の中でも破格の扱いを受けているとか聞いた。とにかく狂気と快楽を求めるやつ…なのはわかっているよな…。
鼎…あの時…容赦なくダメージ受けてたもんな…」

「あぁ…」
鼎の声が小さくなる。気に障ってしまったかな。


鼎からしたら無理やり仮面を外されることは屈辱になる。だから激しく抵抗もする。
それだけに禹螢にやられたことは深く深く傷ついていた。


2年前のあの禹螢による拉致事件の後、鼎はしばらく立ち直れなかったという。

仲間にも相談をしたり、カウンセリングも受けた。



禹螢はつまらなそうにしていた。なんだ、あの仮面の女はノーダメージかよ。じゃあ今度はじわじわと苦しめてあげる。
禹螢がいた場所は某港。ネオメギド2体も従えている。

じゃあ、水場ならどうだろうな〜。
紀柳院鼎、人前では仮面という特徴からするに水は苦手そうに見えるのだが。


禹螢はネオメギド2体を水棲態へと変貌させる。
今度は水に特化させたよ…?あいつら次はどうするのかな。