御堂達が異空間で禹螢(うけい)戦を繰り広げている最中、まだ意識が戻らない鼎だったが不思議な光景を見た。


それは綺麗な花畑が広がる光景。花畑はどこまでも広く、青空が広がっている。景色は淡い色合いでぼやーっとしてる。
その花畑の中に見覚えのある人がいた。鼎(=悠真)の両親だ。死んだ両親がなぜここに?

花畑にいた自分は素顔だったが、顔の大火傷の跡は消えていた。思わず顔を触る。
そんな鼎の姿を見た両親は何かを伝えようとしていた。

「悠真はまだ来ちゃダメだよ。待ってる人がいるんでしょう?戻って」
母親の優しい声がした。


来ちゃダメ?戻って?


だんだん遠ざかる花畑。鼎は何かを悟った。ここは来てはいけないところなんだ…。



異空間では御堂が本気を出した。


「桐谷さん、あれこっちによこして!!」
「了解です」


桐谷は何かをぶん投げる。御堂はキャッチ。それは対怪人用銃・マグナムブラストを改造した大型銃。
桐谷が主に使うものだが、御堂が使うと様変わりする代物。

御堂はそれをすぐさま、禹螢に向けて発砲。威力が大きいその銃は殴るのにも適している。
彼はよく銃で殴るため、最適とも言える。


禹螢は御堂の猛反撃に圧され始める。
「なんなんだこいつは…」
禹螢怪人態は電子機器の介入が出来ずにいる。御堂はめちゃくちゃ楽しそうに攻撃。


「何目的で鼎のブレード強奪したんだかわからねぇが、返してもらうぞ!!」

御堂は本気を出すとかなり攻撃的。禹螢は御堂からゼロ距離射撃を立て続けに受け、ダメージを受けている。さらに肉弾戦でも畳み掛ける御堂には隙がない。


晴斗は御堂の実力に思わず見とれていた。
御堂さん、こえぇよ…。


バックアップの鶴屋も札を使い、守備を強化。時任は絃(いと)をつかい、禹螢の動きをなんとか止めようとする。

「御堂さん!早く攻撃してーっ!こっちはギリギリなんすよ〜」
「言われなくてもやるわ!!」


御堂は銃で殴りつつ、蹴りをも加える。そしてまた1発発砲。
禹螢は距離を取ったが、御堂はその一瞬を逃さなかった。

銃を最大出力にし、一気に撃ち込む。激しい音と共に禹螢は倒された。


鼎のブレード・鷹稜(たかかど)は宙を舞い、地面に突き刺さる。
御堂はそれを抜いた。

「早いとこ、戻るぞ。ゲート探さねぇとな」


御堂は鷹稜を鞘に収めると、大事そうに抱えた。大型銃は桐谷に返してる。
6人はひたすら走った。ゲートの目印は道祖神・お地蔵様・風車だと長官は言ってた。どこにあるんだ目印はーっ!


6人はあの最初の森に来た。昼間でも薄暗い。
時任は何かを見つけたらしい。

「あれ、道祖神じゃないっすか!?ほら!」
そこには小さな石像が。ゲートの目印は見つけたが何もない。6人は推理し始める。


最初に来た時、6人が異空間に着いた瞬間ゲートは閉じた。開ける方法があるはずだ。
時任はなんとなく呟いた。

「開け〜ごま!」
「そんなんで開くわけないだろ」

御堂は冷めている。時任の「開け」に反応したのか、いきなりゲートが開いた。


「開きましたよ?」
時任はあっけらかんとしている。

「早くここ(異空間)出るぞ!走れ!!ゲートが閉じる前に飛び込め!!」


6人はゲートに向かってダッシュ、次々とゲートの外へと脱出。ゲートが閉じる寸前、最後尾の晴斗は一気に飛び込んだ。ゲートは閉じられた。
ギリギリ6人全員、異空間から帰還。



ゼノク・異空間ゲート部屋。開いた扉から6人がなだれ込んできた。

「いって〜」
「俺、下敷きになってんだけど…。苦しい…」


御堂が最初がゲートに飛び込んだせいでこんな状況に。6人はようやく立ち上がる。


そこに蔦沼と西澤が。

「鷹稜を奪還してきたか」
「禹螢はぶっ倒したぞ。しぶてぇやつだった」


御堂は取り返した鼎のブレードを見せた。蔦沼は受け取った。

「長官、鼎にはすぐ返さないのかよ」
「ちょっとひと手間加えないとならないからね。このまま返すわけにはいかないでしょ。病院にこのまま持っていくわけにはいかないだろう?」


確かに。


「西澤、場所を変えよう。桐箱と塩、あと箱を包む布を持ってきてくれるかい?」
「『あれ』、やるんですか」

「怪人に使われたんだぞ?清めないとならんでしょ」



ゼノク・とある部屋。


蔦沼と西澤は鼎のブレード・鷹稜に何かをしていた。お清めらしいが…。


丁寧に桐箱に入れられ、綺麗な布で包まれたブレードを御堂は蔦沼から受けとる。

「このままの状態で紀柳院に届けてくれ。鷹稜は清めたから大丈夫。
さすがに病院でブレード剥き出しはいけないからねぇ…」
「わかった」



本部隣接・組織直属病院。

鼎は意識を取り戻す前兆が現れ始める。御堂は急いでブレードが入った桐箱を看護師に渡した。

「これを鼎のところへ届けてくれ!ベッドの側に置くだけでいいから」



しばらくして。

鼎は意識が戻った模様。
ここは…どこだ…?視界が見えない…。


彩音が本部に飛び込んできた。

「鼎の意識戻ったって!」
「本当か!?」

「ごめん、私また病院行かなきゃならないから。室長も」
「彩音、ずっと病院にいたのか…。付きっきりで…」


鼎は顔に巻かれた包帯を外され、いつもの白い仮面姿に。
鼎はまだぼーっとしている。


あの景色はなんだったんだろうか…。


鼎はベッドの側に桐箱があるのを見た。長さからするに、鷹稜だ。

鷹稜が戻ってきたんだ…。良かった…。


鼎は仮面の下で涙目になっていた。なぜ桐箱に入っているかはわからないが、愛用のブレードが帰ってきたのは嬉しかった。


鼎は6日間昏睡状態にあったと聞かされた。それだけダメージが大きかったということだ。


「私はそんなにもひどかったのか…」
「鼎、腹斬られたからまだ安静にしないとならないよ。御堂さん達が奪還したんだって」
彩音が淡々と話してる。

「禹螢はどうなった…」
「御堂さんが倒したよ」


和希が倒したのか…。鼎はいつの間にか御堂のことを名前で呼んでることに気づいた。

この変化はなんなんだろうか…。