本部・司令室でも動きが。


しばらく姿を見せなかった北川が来たのだ。

「北川、お前どこへ行くんだよ」
宇崎が聞いてる。
「メインモニター見ればわかるだろ、都心の状況…かなりマズイぞ。今から車飛ばして行くさ」
「鳶旺(えんおう)は鼎の能力をものにしちまってるし…。それのせいでこっちの攻撃が無効化出来てるから歯が立たない」

「宇崎、聞いたぞ。紀柳院が能力奪われた影響受けて危ないんだって?
早いとこなんとかしないと…でもどうするよ」



現場近くの組織直属病院。鼎はその病院に搬送されていた。彩音も同行。

組織直属病院はイレギュラーなことにも対応出来るため、この鼎の件も伝わっていた。
「鼎…晴斗くん達が頑張ってるから…」
「わかって…いるよ…」

鼎は白いベネチアンマスク姿だが、辛そうだ。



現場では鷹稜(たかかど)が戦線離脱。


「鷹稜どうした!?」
恒暁(こうぎょう)が聞いてる。
「鼎さんのエネルギーが少し、弱まりました。私が行動不能になったら戦えなくなります。すいません、離脱します!」


鷹稜は鼎の元へ戻るために戦線離脱。鳶旺を前に残されたのは晴斗&恒暁のみ。


現場近くでは次々と組織の援軍が到着していた。そこには支部の囃やゼノク隊員の二階堂達の姿も。

「派手にやられてんなぁー。全ては元老院・元締めのせいか」
囃が怪人被害の惨状を見る。二階堂もその状況についていけてない。

「いくらなんでもこれは酷いですよ…」



晴斗と恒暁は体勢を立て直すため、一旦地上へ。
鳶旺も追随する。

「やっば!追いかけてきたぞ!」
「なにこのハードな鬼ごっこおおおおお!!」

晴斗と恒暁は攻撃を交わしつつ、全力で逃げる。鳶旺は執拗に追いかけていくが、途中途中他の隊員達にも攻撃。

囃や桐谷も鳶旺に攻撃を仕掛けるが、全然効いてない。
「全っ然効いてねぇ!無効化してやがる!!」
「無効化は鼎さんの能力なんです。あれを取り返さないと鼎さんがかなり危うくなります」

「マジかよ!?桐谷、紀柳院はどこにいる?」
「病院です。かなり危ない状態だと聞きました」


「どうやって倒すんだよ、あんな奴…。無効化されたら手も足も出ないじゃねぇか」



しばらく異空間にいた鐡は、人間界に戻るもスカイツリー上空の不気味な空間に気づいた。
「鳶旺の野郎…」

鐡は刀身が紫色の刀を出現させる。そして鳶旺目掛けて攻撃。
攻撃はなぜか当たった。


「貴様!鐡っ!!」

鳶旺はかなり動揺している。攻撃無効化は同じ怪人同士ならほとんど効かない。人間相手にはかなり有効なのだが、鳶旺は鐡の存在をすっかり忘れていた…。


「鐡、なぜお前が…」
「元老院を潰すチャンス到来だな!無効化は俺には効かねーんだよ!」
「なに!?」

「その能力、元の使い手に返して貰うぞ」
「嫌だね」
「なら、無理やりやるまでよ」


鐡は刀を巨大化させ、野太刀のように変化。

「俺にはわかるんだよ。その能力の元の使い手…今、生死をさ迷っている。
お前が均衡を崩したせいでな」
「なぜ人間に肩入れするんだ?鐡は我々と同じ怪人ではないか…」
「元老院を潰すためなら人間とも組む。俺のポリシーがお前を許さないからな」



病院では鷹稜が鼎の側に寄り添っていた。

「私は何も出来ていない…」
「鷹稜…お前がいるだけでいいんだよ。お前がいるだけで…」

鼎は激しく咳き込んだ。仮面に隠れて顔は見えないが、かなりキツそう。声も弱々しい。



鐡は一方的に鳶旺に攻撃を仕掛ける。怪人同士なら無効化も意味がない。
鳶旺は穴を突かれた。

「今回の目的は『能力』の奪還だ。ま、お前もぶっ倒すが…今じゃあない」


鐡vs鳶旺、鐡は無効化した鳶旺を物ともせず次々攻撃。
紫色の刀身の刀だけで鐡は戦っていた。ハイレベルなバトル。


晴斗と恒暁もこのバトルを思わず見入ってしまっていた。
なんつーバトルだよ…。


二階堂達は怪人を倒しつつ、避難指示を進める。

「早く逃げて下さい!ここは危険です!」



鐡は一瞬の隙を突き、鳶旺の体に触れた。

「返して貰うぞ」


鐡はニヤリと笑う。すると鳶旺の体内から淡く光る球体が取り出された。

彼はそれを手のひらに浮かせ、鳶旺に強烈な蹴りを加え怯ませる。


鐡は晴斗と恒暁の元へ。

「これを仮面の女の元に届けろ。お前、あいつを救いたいんだろ!?」
「…うん」


晴斗は光る球体を受け取った。恒暁は急かす。

「早いとこ病院行かないと紀柳院は助からないぞ!」
「わかってるよっ!!」


恒暁は荒っぽく晴斗を連れていく。恒暁は鷹稜の居場所がわかるため、病院の場所がすぐにわかった。


「晴斗!後はお前が行け!お前じゃないと意味ないんだよ」

恒暁は晴斗を送り出した。


御堂も鼎のことをかなり心配している。

助かってくれよ…!





第48話(下)へ続く。