犯罪や事故が多い地区はどこ?
北九州市が、スマートフォンを使って、ひったくりなどの街頭犯罪や交通事故の危険度を「丁目」別に把握できるアプリ(応用ソフト)の開発を進めている。画面上の地図に発生件数を示し、多発エリアは赤などの色付きで注意を呼び掛ける。相次ぐ切り付け事件などで市民の不安が高まる中、防犯意識の向上に役立ててもらう狙い。全国20政令市で初の試みで、7月には無料でダウンロードできるよう目指す。

計画では、発生件数は「丁目」ごとに示す。福岡県警から市内で起きた犯罪や交通事故の情報を随時、提供してもらい、地理情報システム(GIS)で処理する。件数が多い丁目を赤、少ないと青などで色分け。ひったくりや自動車盗、侵入盗、強盗、強制わいせつなど罪種別の内訳も示す。「ひったくりが多い地区ではバッグを体にしっかりかける」「性犯罪が多い地区では夜、女性が一人歩きしない」など、市民の自己防衛に役立ててもらう。

これまでは、街頭犯罪の年間件数を「小学校区」別に示した紙の「安全・安心まっぷ」を作り、区役所などで配ってきた。しかし、市民からは「校区別では範囲が広すぎる」「自宅近くの犯罪情報を知りたい」などの声があった。新たに交通事故のデータも加え、歩行者や運転手に注意を呼び掛ける。スマートフォンの活用で、若者や市外からの転入者などが手軽に情報を入手できるようにする。

開発を約100万円で民間業者に委託。市役所内には「犯罪が多い地区が敬遠される恐れがある」との声もあったが、市安全・安心推進課は「犯罪が多い都市という先入観が先行し、転入者などに必要以上の不安を与えている。実態を正確に伝えることで、市民の安心や、地区で犯罪を減らそうという機運づくりに結びつけたい」と説明した。
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