スポンサーサイト



この広告は30日以上更新がないブログに表示されます。

第31話(下)

司令室では西澤が蔦沼に「紀柳院が北川さんに会いたい」主旨を伝える。

「やっぱりそう来るとは思ってた。北川とはコンタクトを取っているところだよ。紀柳院のことを言ったらすぐに反応したからね。
彼は紀柳院に会いに来るだろうよ」
「既に連絡していたんですか…」

「北川なしではこの戦い、きっついからね〜。何のための『臨時隊員』だい?」



ゼノク周辺では激しい戦いが繰り広げられていた。


「館内へなにがなんでも侵入させんなっ!!」

御堂が銃撃しながら叫ぶ。鐡はものすごく素早い動きで鳶旺(えんおう)を捉える。そして一気に距離を詰めた。

「よぉ、ジジイ」
鐡はニヤニヤしてる。
「鐡…なぜここに!?」

鳶旺は言葉こそは動揺していたが、背中からまるで血管のように枝分かれした赤黒い棘を展開させている。


「てめぇら元老院をぶっ潰しに来たんだよ」

鐡は鳶旺を自分に注意を引き付けている。あの棘の殺傷力はかなり危険なのは承知の上で。


彩音達は戦闘員と乱戦。ゼノク館内は防衛システムで防弾シャッターが閉じられてはいるが、病院はその性質上、防弾シャッターはない。堅牢な外観とシールドのみで病院は守られている。


晴斗はブレードを発動。刃が赤く発光。
「侵入させるかあああああ!!」

晴斗は一気に戦闘員を撃破。いつの間にか通常発動で戦闘員を複数撃破出来るようになっていた。
彼は確実に成長している。



ゼノク・組織直属病院。
鼎は外で物音が激しく聞こえるのを感じた。本能的に嫌な予感がする。

「また元老院が襲来したのか…?」


病院はどこか慌ただしくなっていた。一体外では何が起きている?
そんな鼎の病室に1人の男性が姿を見せる。


「あなたが紀柳院鼎さんだね。ここにいると危ないから地下へと避難しよう。君は狙われている。動けるか?」

「な…なんとか…」
鼎は戸惑いを見せる。
「この病院は地下へ避難出来るようになってるんだ。手を貸そう。ゆっくりでいいからね」


この優しい声…まさかそんなわけ…。鼎はようやく顔を上げた。
そこには見覚えのある人が手を差し伸べていた。


「…北川…さん?」
鼎は信じられないような声を出す。鼎の顔は見えないがどこか明るく見える。

「詳しい話は後だ。俺は長官から要請されて来たんだ。とにかく地下へ避難すればあなたは大丈夫だから。急いだらダメだ。せっかく塞がった傷口が開いてしまうかもしれないだろ。ゆっくりと動いてくれ」

「…はい」


なぜ北川さんが?長官に要請されて来たと聞いたが…。


ゼノク病院の地下がシェルターになっているなんて知らなかった。病院の避難所なだけあって広い。



桐谷はゼノク周辺・ゼノク全体にシールドが張られているのをいいことに、マシンガンやロケット砲で戦闘員を蹴散らしている。
シールドで被害が最小限だから派手な攻撃も可能。

「邪魔はさせませんっ!」


上総(かずさ)・二階堂・粂(くめ)・三ノ宮のゼノク主要隊員も戦闘員と乱戦。
三ノ宮は敵の位置を把握していた。

「西館が手薄です!このままだと侵入されます!」
「三ノ宮、西側は俺がやる」

そう言ったのは御堂。
「お前1人だとバランス悪い。俺も行かせてもらうぞ」
「イチもかよ。ま、いっか。ゼノク内部には侵入させねぇ!」

2人はダッシュしながら戦闘員と戦闘。



晴斗と鐡は不思議な連携で鳶旺と交戦中。

「暁が来るとはな…」


鳶旺は目の前の晴斗に攻撃しようと棘を仕掛けつつ、黒い稲妻を展開。
鳶旺は確実に病院を狙っていた。棘と稲妻は病院へ一直線に向かう。

このままだと鼎さんがっ!
晴斗は焦りを見せた。



病院の地下シェルター。

北川は鼎に日本刀型ブレード・鷹稜(たかかど)を渡す。


「今の私にはまだ戦えない…。怪我はまだ回復していないのに…なぜ?」
「『戦う』ってのは直接じゃなくてもいいんだ。強く思うんだ。あなたの鷹稜が共鳴するかもしれないよ」


共鳴…?


「北川さんは何か知っているのか?あの時私を匿ったのは北川さん…なんですよね…?」
「そうだ。あなたを守るために居場所を失った紀柳院を組織の施設に匿った。守るために」


鼎は真実を知り、泣きそうになるが抑えてる。


「都筑家の能力はあまり表には出ないが、その鷹稜を媒介にすれば解放されると思う。
あなただって守りたい大切な人、いるんだろう?」


私はいつの間にか大切な人が出来ていた…。組織を通じて仲間が出来たから。


鼎はブレードを抜いた。刀身が淡く光っている。


「鷹稜は共鳴しているみたいだね。紀柳院の能力は直接戦えなくても効果を発揮出来るものなんだ」
「直接『戦えなくても』使える…?そんなこと…可能なのか」

「鷹稜を媒介にすれば可能だよ。都筑家は物を媒介してこそ、能力を発揮していたことが判明したんだ。詳しいことは聞かないでくれ。
俺はずっと紀柳院…都筑家のために動いていたからね。見守っていたからさ」


ずっと動いていた…。北川さんが…何が起きてるかはわからないが、北川さんは都筑家のために動いていたと知る。
見守っていたって…。


鼎のブレードはさらに光を増していた。



鳶旺の赤黒い棘と黒い稲妻は病院のシールドを破ろうとしている。

「させるかよっ!!」
晴斗は超攻撃的発動・レイジングスラッシュをさせるも鳶旺の棘は勢いが止まらない。
鐡はどこからか出した剣で黒い稲妻を受け流した。


「効かねぇんだよ、ジジイ」

鐡、かなり余裕。鳶旺は予想外の猛攻撃に半怪人態へと変貌している。
鐡はまだ人間態のまま。


晴斗は病院のシールドを破ろうとする棘と対峙。
棘は容赦なくシールドを破ろうとしてる。

「もう、逃がさないからね。都筑」
鳶旺はニタァとした声を出す。棘の攻撃力が上がった。
晴斗はレイジングスラッシュの攻撃力を上げている。体力の消耗が激しい。負けるわけにはいかない…。この中には鼎さんがいるんだから…。



病院の地下シェルターでは、鼎のブレード・鷹稜が独りでに動いていた。


「何が起きたんだ!?」
鼎は宙に浮くブレードを見た。

「鷹稜は紀柳院と共鳴した。鷹稜はあなたの能力を受け止め、解放されたんだ。直接じゃなくても戦える」

「どういうことなんだ!?」



鼎は晴斗の身を案じていた。さっきから外ではシールドを破ろうとしてるのか、激しい音が聞こえる。

私は仲間を守りたい…!


第31話(上)

ゼルフェノアと鐡一派が元老院を倒すために同盟関係になるという事態は、ゼルフェノア支部や鼎が入院しているゼノク内の組織直属病院にも知らされた。



京都・ゼルフェノア支部――。


囃(はやし)は小田原司令と話をしていた。

「『元老院』とかいう敵組織を倒すために、あの『鐡一派』とゼルフェノアが同盟組んだって…マジ?」

囃は極端な反応を見せている。強面でサングラス・髭のいかつい見た目の小田原司令はきょとんとしている。

「蔦沼長官は鐡一派が元老院と敵対していたのを利用して、『あえて』乗ったとしか思えないぞ。敵同士共倒れになればゼルフェノアからしたらまぁ楽にはなるからな」
「しかし、元老院の狙いが本部の暁晴斗と紀柳院鼎って…なんでまた」

囃、微妙な表情を見せる。


「ゼノクの今現在の調査結果で、どうやら元老院は彼ら2人の『能力(ちから)』を狙っているのが明白になった。元老院の長・鳶旺(えんおう)は能力を奪うつもりらしい。
鐡一派は前から元老院とは険悪だったから、元老院とずっと敵対しているゼルフェノアを利用したかったのかもな」

「鐡…頭良さそう」
「なんでかは知らないが、鐡は暁に因縁つけてるみたいだが…。さすがに今は便宜上の味方だから攻撃はしないだろう。
暁の能力はブレードを介して露になってるが、紀柳院…もとい都筑の能力はまだ発現していない。彼女は事件以前から狙われていたから、紀柳院が動けない今…守る必要性がある」
「紀柳院が動けないって今初めて聞いたぞ!?」


「囃、お前聞いてないのか?紀柳院はゼノクを襲撃した暁を狙った鳶旺の攻撃を庇って、今入院中だよ。
致命傷は免れたが、まだ退院の目処は立ってない」

「元老院のゼノク襲撃って先月だっけ…?紀柳院そんなにもヤバいのか」
「『命に別状ない重傷』というやつだ。鳶旺の棘のような攻撃で体の一部は貫通したと聞いた。攻撃で内臓やられたから彼女は回復までかかるんだよ…」


なんてエグい攻撃…。鳶旺は冷酷非情とは聞いていたが。


「支部に出来ることって…今…ないよな…」
「今の激戦地はゼノク周辺だからなぁ。そのうち総力戦になるかもしれないよ。ゼルフェノアvs元老院は長引いているからね。お前も知ってるだろ?黎明期からゼルフェノアは元老院と敵対していた話」

「怪人メギドの元締めって…元老院なのか?鐡なのか?」
「今のところはっきりしないんだよな〜。鐡は『メギドを統べる者』と名乗ってるあたり、実力は鳶旺と同等かそれ以上と推測するが…」


小田原は真剣に話ながらも編み物をしている。小田原司令は意外と可愛いもの好きなため、チクチク手芸したり編み物やってる。
強面の司令がぬいぐるみを作っているギャップよ…。

これは支部では見慣れた光景。支部隊員な慣れっこ。



ゼノク。組織直属病院・鼎の病室。
鼎がいる病室は6人部屋だが、病室には鼎しかいない。組織直属病院は主に隊員が使う一般病棟があるため、鼎はそっちに搬送されている。一般病棟は市民用と隊員用と2つあるのが組織直属病院の特徴。

鼎は外を眺めていた。まだ退院の目処が立ってないため、しばらくこんな感じ。


そこに西澤がやってきた。

「紀柳院…順調に回復しているようだね」
「西澤…」
鼎は西澤を見た。鼎は仮面姿なため、顔は隠れているがどこか寂しげ。どこかうつむいている。

「西澤室長…『北川さん』に会いたいのですが…。あの人は事件で居場所を失った私を救ってくれた恩人なんだ…」
「北川って、『北川司令』のことか?いや…元司令だね」


普段、相手のことを呼び捨てで呼ぶ鼎が北川「さん」と呼ぶのは珍しい。
彼女からしたら恩人らしく、北川を慕っているのだろうか…。


「北川さんに聞きたいこともある。都筑家の能力(ちから)のこととかだ」
「紀柳院…ちょっと落ち着こうか。君はまだ怪我が回復してなくて動けない。元老院にも狙われている。とにかく今は回復に専念して欲しいんだ」

「長官にも…伝えて貰えますか?あれ以来、北川さんとは会えてない…!会わせて欲しい…声だけでもいいんだ…!」
鼎の声は悲痛だった。


普段冷淡な話し方をする紀柳院が、北川のことになると話し方がガラッと変わっている。
事件以降、彼女に影響を与えた人物なのは間違いない。居場所を失った紀柳院を組織の直属施設に匿ったのは北川なのか?


西澤は複雑そうな表情を見せつつも、なんとか答えた。
「なんとかやってみるよ。長官にも伝えておくからね」

とにかく彼女を安心させなければ…。
西澤は病室を出た。鼎はその西澤の背中を見送った。

鼎は抑えていたのか、泣きそうな声を出す。北川さんがいなければ…今の私はいない。



異空間・元老院。
鳶旺は次の手を考えていた。

「正面から攻めても無駄だったが、あの2人の能力は我らの世界破壊には好都合なのだよ」
「ど…どうしたんですか、鳶旺様」

副官の絲庵(しあん)はびくびくしながら聞いてる。


「都筑悠真が死ねばあの力は手に入るのだがな…」
「死ねば手に入る?」

「そう。都筑家の能力(ちから)はなかなか表には出ないのだよ。表に出てしまえば、直接彼女から奪うしか方法はないが…まだ発現していない今、殺せば確実に手に入る」
「なっ…何を言って…」

絲庵、鳶旺の冷酷さを目の当たりにする。


「私はね、手段を選ばないのだよ…。暁は既に能力が出ているあたり、厄介だが…都筑はまだ行ける」
「長、一体何をするつもりですか」
「都筑悠真を殺す。私は本気なのだよ?能力(ちから)を奪い取るためなら手段は問わぬ!」



ゼノク・司令室。
鐡一派は普段とは違う白っぽい格好でゼルフェノアに紛れていた。鐡は蔦沼と話してる。


「おい長官、鳶旺の野郎…また来るぞ」
「また来るのか」
「今度は本気だ。おそらく…あの仮面の女をとり殺す算段だ」


仮面の女…紀柳院か。彼女はまだ能力が発現していないから、格好の標的になっているということか。


「鐡…紀柳院はまだ入院中で動けない。鐡は何か案、あるかい?彼女は病院から動けないんだ」
「んなことわかってる。仮面の女は能力(ちから)が発現してしまえばいいんだが…。
そうすれば少しは危機を免れることが出来る。解放された能力はそう簡単には消えないからな」
「やけに詳しいんだね」

「元老院とはこっちもずっとドンパチしているからよ、あのジジイと副官に関しては詳しいぞ」


紀柳院の鍵は「能力の発現」か…。



鳶旺はゼノク周辺に戦闘員を多数出現させる。

「都筑悠真を探し出せ!」


鳶旺は戦闘員達に命令を下す。ゼノクは防衛システムを起動。明らかにターゲットが鼎のため、病院のシールドが強化されてある。

敷地内の対怪人兵器も起動。蔦沼はゼノク隊員・本部隊員・鐡一派に伝えた。

「紀柳院を全力で守り抜け!」
「わかってんよ、長官」

鐡はニヤリとした。晴斗はまさかの鐡との共闘に変な感じになっていた。


鐡一派からは鐡のみ参戦。


「あのジジイには気をつけろよ。前回の比じゃねぇかんな。奴は本気だぜ」

怪人の勘…なのだろうか。





第31話(下)へ続く。


謎の不気味な村


話題:今日見た夢
明らかに悪夢入ってました。よくわからないけどエグくて。


テレビ番組を観ている夢だったのだが、日本じゃないどこかの国のとある村が出ていたんだけどその国…ってか村は架空の国っぽかった。
村の建物の雰囲気からして欧風の国っぽい。


その番組はドキュメンタリーで村では一体何かあったのか、病院で治療を受けられない村人達がうじゃうじゃいたのだが…ビジュアルがエグかった。

火傷なのかはわからないけど、全身包帯だらけの村人と包帯が足りずに謎の白い粉(薬?)を身体中につけて一時しのぎをしている村人達がいたのだが、見ていてキツかったのは子供たち。


中には両目をえぐられた人もいて地獄絵図。
治療出来なくてやむを得ずやったような有り様。

村では一体何があったのかはドキュメンタリー番組ではあまり触れられてなくて、ただただ村の惨状だけを伝えてた。
番組観てると村の建物が焼け残っていたのが見えた。村で大火災でもあったんだろうか、わからないけど村人のほとんどが逃げ遅れたっぽくて。

村は建物こそは欧風っぽいけど、道は一部舗装されてなかったりとかしてる。景色は殺風景。


番組でインタビューを受けた村人がいた。全身包帯の村人。たぶん女性。顔まで包帯に覆われてる。
その人の子供(小学校低学年くらい)は包帯が足りずに白い粉を身体中につけてるが、よく見るとひどい火傷。

その人は「私達は満足な治療を受けられないでいるの!助けて」みたいなことを悲痛に言ってて。
全身包帯の村人はほとんど大人だった。服を着ると痛いのか、全身包帯の村人は服らしきものをほとんど着ていない。シルエットでかろうじて男性か女性かわかる程度。
全身包帯の村人は顔まで包帯で覆われてる感じ。


助からなかった村人達は集団墓地に埋葬されていた。


村人のビジュアルも衝撃的だが、この村で一体何があったんだろうと勘繰ってしまった…。
ドキュメンタリー番組では一切触れられていなかったのが、闇深すぎる。



番組名は「村の悲劇」みたいなタイトルだった気がする。

村の名前は架空だが覚えてない。村人の状態と村の惨状からするに、戦争か大火災か何かで村人のほとんどが被害受けたっぽい。
それもほとんど火傷を負っていたのですよ。村人が。


全身包帯の村人は全身火傷なのかぁ…って。病院らしき建物はなかったし、謎な上に不気味でかつ悪夢すぎる…。

薬らしき白い粉を身体中につけてる子供のビジュアルがキツかった…。包帯足りずにやむを得ずそれで凌ぐしかないとか、えぇ…。


無題


話題:おはようございます。
昨日の拍手6個ありがとうございます。なんかものすごくエグい夢を見て、中途覚醒。悪夢入ってたとしか思えない。

水木のアニキが逝ったと知って、ずーんとしてると同時にまだ信じられないでいる…。

カラオケでマジンガーZ、ちょいちょい歌ってたなぁ。



創作設定カテゴリー、主要人物1の「暁晴斗」追加更新しました。
武器の発動3種類に関して追加。必殺技っぽい名称が出たのでメモった。


設定カテゴリー、そろそろ晴斗の父親・陽一と北川さん(元司令)を追加したいところですが北川は地味にキーマンっぽいし…まだ設定は書かなくていいか。
序章で既に出ていたキャラなのですが。

本編では今のところ名前だけの登場なんですよね、北川さん。
話の流れ的に、北川登場はあり得る…。



それにしてもあの夢、エグすぎてもうなんかヤバかった…。


前の記事へ 次の記事へ
カレンダー
<< 2022年12月 >>
1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 31
アーカイブ