昔、昔。ある少年が、友人とドライブを楽しんでいた。車大好きで、車にばかりお金かけて毎日夜中までドライブしてた。

その頃に流行っていたのは、気分で遠出する事だった。鹿が見たいから京都に行ったり。湖見たいから琵琶湖に行ったり。波が見たいから御前崎に行ったり。と単純な動機で走り回る。

その中で、夜景見たいから新宿にと車を走らせた。

新宿まで、距離は450キロ。まして高速は使わない。誰もが冗談のような勢いだった。よし行こうぜ。勢いで車を、走らせた。

中々遠い。私はぐっすり寝てしまった。気がついたら新宿の歌舞伎町。ギラギラしたネオンに惹かれた。そして、西新宿の高層ビルを何故か目指してしまった。

住友三角ビルの下に車を停めた。下まで行き見上げた。デカイ。凄い。高い。大きい。飽きない。寝転んで眺めていた。

みんなが、そろそろ行くぞと呼びに来た。その時に、ふと思った。俺はこの街で生きて行きたいと。本気で思った。このビルが欲しいと。

友人に告げた。悪いけど、俺はこのまま残るから。帰らないから。じゃさようならと。本当に残る事にした。

後から聞いた話だと、まさか本当に残るとは思わなかったらしい。そりゃそうだよ。いつものように遊びに行っただけ。何も用意ないしね。

友人達と別れ本当に残ってしまった。ずっと朝までビルを眺めていた。

朝になって、どうしようかと思い財布の中身を数えた。7000円の所持金しかなかった。

これが最初のキッカケ。
で今に至る。

良く笑い話になる。親に行って来ますと遊びに行ったきりで今の今。家出だ。後、7000円しか持ってなかったから、7000円持って帰れば元だと。笑い話になる。

今でもその時の気持ちは忘れていない。

で東京生活が始まる事になった。

そんな少年が、今。。。